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欧州における不動産テック ― 4大トレンド、待望されるユニコーン企業の出現

  • ベストプラクティス
By PriceHubble - 2021年 7月 28日
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ウィズコロナ/ポストコロナ時代に、不動産テックとデジタル化が欧州の不動産業界へもたらす変革とは 

各種業界では時代の変化と共に、それぞれの市場に特化したデジタルソリューションが目覚ましい成長を遂げています。それにより、顧客とのコミュニケーションに新しい形が生まれるだけではなく、企業側のリソース配分とデータ処理までが最適化されています。今、このデジタルトランスフォメーション(DX)は不動産業界でも進行しています。 

これまで長く、不動産市場は、対面接客が何よりも重視されるアナログな業界と見なされてきました。しかし、2年ほど前から欧州市場でも様々なベンチャーの参入が続いており、不動産取引と不動産管理の各段階における、新たなデジタル革命を実現する開発に着手しています。 

このようなデジタルプラットフォームへの移行は、業界の基盤を確変させると言われるほどの可能性を秘めています。株式会社プライスハブルジャパン、代表取締役社長の廣澤祥生は、「特に新しいビジネスモデルと連動させて先進技術を活用することにより、不動産テックが消費者と企業のマインドセットと行動パターンを長期的に変化させる可能性があります」とコメントしています。

この記事では、多様なデジタルソリューションの概念を包括して不動産テックと呼んでいます。  

不動産テックとは?

不動産テック[不動産×テクノロジー]は英語のPropTech(Property Technology)からきています。不動産のライフサイクル全体を通じたデジタルソリューションの開発に関わる技術を言い表す用語です。たとえば、BuiltworldとPwCがまとめた不動産テック概観報告欧州不動産テックマップ2020(European PropTech Map 2020)では、以下の5分野に大別されます。 

  • 査定、融資、投資
  • ファシリティマネジメント
  • 資産管理
  • デジタル市場 
  • 都市計画「スマートシティー」 

VR技術を活用したオンライン内見からBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)まで、不動産テックは不動産の投資と利用における各段階の業務を最適化します。大手の業者や取引先だけではなく、エンドクライアント自身もその恩恵に与ることができます。 

不動産テックのビジネスシーンは、特に金融業界のフィンテック、売買契約の作成から管理に関わるリーガルテック、建設業界のコンテックといったテクノロジーソリューションから成る既存ネットワークの一部を構成します。各技術は互いの足りないところを補うだけではなく、その特徴が重なり合う部分も多くあります。 

「不動産と密接に関わっているフィンテックは、不動産テックとの重なりが最も大きいテクノロジーです」と、廣澤は述べます。「フィンテックは不動産市場の数年先を行っています。投資家にとって、これは特に注目されます。というのも、フィンテックにより不動産テック部門の最新動向をよりよく理解し、予想することができるからです」

Proptech_overlaps_JP
不動産テックと関連する分野

欧州の不動産テック市場は、今まさにそのポテンシャルを引き出し、開花させようとしています。その際、同分野の先進国である米国の企業に学ぶことも多いでしょう。 

欧州不動産市場における不動産テック 

世界の不動産市場をリードする米国に比して、欧州の不動産テック企業には課題が多いというのは確かです。国ごとに市場が細分化されている欧州では、複眼的な視点をもって事業の構想と計画を練る必要があります。つまり、各国固有の法体制、様々な言語・文化を考慮するとともに、不動産市場を一つの物差しでは測れないことを覚悟すべきです。 

市場の実情に精通している廣澤氏は、「米国市場は州によって多少の違いはあっても、大局的に見ればどこも同じです。その一方で、欧州はその性質から元々、分断した市場です」とコメントします。しかし、同氏は、そこにこそ大きなメリットを見いだしています。「欧州の不動産テック企業はすでにローカリゼーションの面で経験と実績があります。アジアなどの他の市場に国際的に業務を展開する際、この経験が生きます」

また、資金調達面でも二つの市場は大きく異なります。米国における資金調達額は、最大で欧州の34倍にも及びます。特に市場価値にして10億米ドル超のユニコーンを目指すスタートアップにとって、この資金調達力は長期的な成長に欠かせない要素です。ですから、欧州不動産テック企業のなかには、米国への移転を検討するところも増えています。ドイツの業界ネットワークGPTI(不動産テック・イニシアティブ:German PropTech Initiative)や欧州委員会の助成プログラムESCALARなどのイニシアチブは、拡大する不動産テック部門における企業の成長を促すとともに、長期的にそれらの企業を欧州に定着させることを目指しています。 

欧州に不動産テック・ユニコーンが不在である理由

概して、欧州の不動産テックは米国の先駆的な業界に比して出遅れ感がありますが、これには上記の欧州市場の特殊性も関わっていると考えられます。細分化の障壁があっても市場浸透がさらに進み、破壊的創造につながる拡張性のあるビジネスモデルを確立し、十分な資金提供があるならば、欧州の不動産テック業界にもユニコーンが登場する可能性は十分にあります。 

2014~2019年の間に欧州不動産テック業界への投資は年平均45%の成長を続けており、今後もプラス基調が持続するものと期待されます。最も活発なのは英国とドイツの投資家ですが、スカンジナビア諸国などの比較的小さな市場でも、不動産テックへの関心の高まりが見られます。

Proptech financing Europe
ヨーロッパも急速に伸びてきている。平均45%成長

このことから、業界の展望は明るいといえます。そのなかで、今後の発展を大きく左右すると思われるトレンドが見えてきました。 

欧州における不動産テックの4大トレンド  

2020年にKPMGが発表した不動産イノベーション便覧(Real Estate Innovations Overview) は、不動産業界におけるイノベーションの鍵を握る分野として以下の9つを挙げています。プロセスデジタル化、柔軟な労働空間、在宅または職場での労働衛生、革新的な建設、IoT(モノのインターネット)、資金調達/プラットフォーム/マーケットプレイスの新手法、持続可能なイノベーション、そして忘れてはならないのがVR技術、3D撮影技術です。同資料やその他の市場モニタリング・分析から、欧州における不動産テック業について以下の4大トレンドを読み取ることができます。 

1) プロセスの可視化とデジタル化 

不動産の管理・売買プロセスをバーチャルオンラインプラットフォームに移行することは、売主の行動パターンの変化に対応するというばかりではなく、リソースの最適化と省力化に大きく寄与する可能性を秘めています。そのなかで、数多くの国々で進行しつつある電子署名の普及が特筆されます。それによって手元の端末から手軽に契約を締結できるようになります。その他にもオンライン決済・経理事務、修理依頼や整備計画のデジタル処理といった、建物管理関連の各種業務の自動化などのメリットが挙げられます。しかし、コロナ禍により最も注目を浴びるようになったのが、何よりも物件のオンライン内見です。

Nodalviewなどの業者はこのニーズに特化し、不動産業者が容易に、写真や動画を使って物件をオンラインで案内できるようにする専門サービスを提供しています。このサービスの核となる専用のスマートフォンアプリで、ユーザーは必要に応じて撮影機材をオプションで買い足すことができます。 

利用分野を選ばないMeeroなどのサービスも、不動産市場で活用されています。起業からわずか3年で憧れのユニコーンの地位を獲得したMeeroは、フランス初のスタートアップで、プロジェクト単位で写真家を斡旋し、撮影された画像をAI技術で自動的に調整・リタッチするサービスを展開しています。 

バックエンドプロセスだけではなく、クライアント側でもデジタル技術の導入が進んでいます。 

2) 日常業務とデジタル化 

主にデジタルプラットファームでルーチンワークと日常業務を処理するという業界が増え続けています。不動産業界におけるその代表例がHqOS のアプリです。このアプリの主な利用目的は、スマートホーム技術と同じような仕組みで、オフィスやその他の商業物件をデジタルネットワーク化・管理することです。 

「テナント・エクスペリエンスのOS」が売り文句のHqOSを使用すれば、不動産のテナントやユーザーに、デジタル次元への広がりをプラスしたカスタマーエクスペリエンスを提供するスマートスペースを創出できます。また、これは不動産所有者にとっては、データ分析とテナント管理の新たな武器となり、賃貸戦略の策定と運用に役立ちます。 

3) 不動産のクラウドインベスティング

他の多くの分野で既に大きな成功を収めているクラウドファンディングですが、不動産投資においても、このコンセプトが浸透しつつあります。具体的にはクラウドインベスティング(投資)という手法です。これによって比較的少額の投資額でも物件投資が可能になるので、従来の不動産投資には手が出なかった若年投資家層に新たにアプローチすることができます。

たとえばスタートアップImmo Capital では、ロンドンやハンブルクといった欧州でも、一流不動産市場の住宅物件をポートフォリオに抱えています。集合住宅ブロックの単位ではなく、分譲マンションなどの個別の住戸に照準を合わせることにより、投資管理会社は今まで機関投資家に見過ごされがちだった市場セグメントを開拓できます。

4) データ主導型のAI支援ソリューション

不動産市場には数多くの多様なプレイヤーに存在しますが、それに共通するのが信頼性のある市場データとデータ分析の必要性です。データ取得とデータ処理における技術革新により、市場データ分析が今まで以上に容易となり、信憑性の高い結果を導き出せます。ただしこれは、情報の正しい入手方法を心得ていればの話です。 

そこで、PriceHubbleがお役に立ちます。スイス発のB2B不動産テック会社であるPriceHubbleは、既に欧州各国の市場や日本で事業を展開してきました。不動産業者に不動産仲介に役立つデジタルツールを提供。金融・保険サービス業者なども支援し、それら業者の中核事業分野を補完し、不動産投資家と不動産管理会社の業務円滑化を図ります。 

これらの用途で使われるPriceHubbleアプリを支えているのが、人工知能によるデータ分析です。このアルゴリズムと、一連の信頼性のあるデータソースからの物件データに基づいて、任意の物件において、精度の高い最新の市場売買価格・賃料を算定することができます。それによって、不動産取引に関わるすべての意思決定や対策を裏付ける、確固たる基盤を提供します。

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物件査定・分析 - Property Advisor

以上のトレンドに伴い、ルーチンの管理業務を自動化することの意義が、これまで以上に高まっています。このニーズに対応するため、たとえばPriceHubbleでは、エンドクライアントに自動的に更新された査定データを送信する機能であるProperty Trackerを用意しています。「この機能によって、PriceHubbleは不動産のライフサイクル全体をフォローアップします」と、廣澤氏は言います。 

まとめと今後の展望 

不動産市場のデジタル次元を形成し、押し広げ、変革していくのは「リアルな不動産テック」だけはありません。たとえば、ブロックチェーンは不動産専用に開発されたものではありませんが、 中期的な視点から、この技術が不動産取引にどのような影響を及ぼすかを専門家たちも大きな関心をもって見守っています。 

しかし、不動産テックは不動産市場における取引の転身に大きく貢献するものと期待されています。  長期的に見て、コロナ感染拡大の危機が不動産市場とその業務プロセスにどのような影響を与えるかが特に注視されます。なんと言っても、コロナ危機がデジタル化推進に大きな追い風となったことは確かです。感染拡大の危機を乗り越えた後、不動産業界にも従来の習慣に立ち戻ろうとする動きも出てくるかもしれません。しかし、デジタル化は歯止めの利かない不可逆的な流れであることは、他の業界や市場を見ても明らかです。 

デジタル化を業界のチャレンジとして受け入れることが、不動産市場に携わる全プレイヤーの責任です。的を絞って不動産テックを効果的に活用し、新たなトレンドを前向きに捉えれば、チャレンジを乗り切れるだけではなく、さらに大きな躍進のチャンスが開けます。欧州初のプロップテック・ユニコーンの出現が今後期待されます。


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